こんにちは、フリー動画編集者の生ハム帝国です。
先日行われたAdobe MAX Japan2018で様々なAdobeの新機能が発表されました。その中でも一番印象に残ったのはAfter Effectsに「コンテンツに応じた塗りつぶし」を搭載するかも?というもの。これが滅茶苦茶ヤバいんですよ!
ツイッターでもバズってますね~。
ちょっとこれはヤバイ
Contents fill#AdobeMAXJapan pic.twitter.com/qLHpbBqWr8— Rin/倫 (@riririnchan1111) November 20, 2018
これがどういう機能かザックリ説明すると、「映像内で任意の対象物を自然に抹消する」というものです。Photoshopを使っている方なんかはこの時点でこの機能のヤバさが十分伝わったかと思います。
ただ文章だけだと分かりにくいと思うので、これから画像つきで詳しくこの機能について説明していきたいと思います。
AEのコンテンツに応じた塗りつぶし
それではAdobe MAXの映像を元に解説していきたいと思います。
▼これはAfter Effectsのキャプチャ画面▼
まずはこの映像に映る左側の男性。この男性にAEの新機能「コンテンツに応じた塗りつぶし」を適用してみましょう。ちなみにこれは新郎新婦とその父親の映像です。
なんということでしょう。男性が見事に消えてしまいました。でもこれだとPhotoshopのコンテンツに応じた塗りつぶしと同じように見えますよね。違和感のなさに注目してみてください。
分かりやすく、比較のために従来通りPhotoshopでの塗りつぶしをしてみました。
これがPhotoshopの塗りつぶしでお父さんを消したものです。遠めで見るとあまり違和感がありませんが、近くで見ると錯視マジックの本みたいに空間が歪んでいるように見えることが分かります。
横並びにしてみるとその違いがよく分かるのではないでしょうか。
After Effectsの塗りつぶしではこの歪み問題を映像ならではの仕組みで解決しています。
AEの新機能がすごい理由
先ほども書きましたが、AEの塗りつぶしがPsの塗りつぶしよりも違和感なく適用できているのは動画だからです。具体的に言うと、この疑似的に生成された背景は全フレームから計算されて適用されています。つまり、別のシーンの背景から正しい位置を計算して処理を行っているんです。
これによって、従来のものよりも更に自然に対象を塗りつぶすことが可能になりました。
「対象の周りの色や模様から背景を創造する」から「別のシーンの背景から実際のテクスチャを使用する」方法に変わったんですね。これはとんでもない革新的な機能ですよ!
映像制作に詳しい方なんかはここで、「マスクはどうしてるんだBoy?」となりますよね。鋭い!
新しいマスク機能あっての塗りつぶし
そう、AEの塗りつぶしは何を隠そう、進化したマスク機能によって支えられています。
ちなみに、マスクというのは対象を選択することで対象のみにエフェクトをかけたり、逆に対象以外にエフェクトをかけるために使ったりします。(違ったらすいません)
従来の機能でもマスクはできますが、のっぴきならない問題がありました。それはずばり、「追従が甘く修正がしんどい」点です。マスクした対象を自動で追従することはできますが、ふとしたことでマスクが別のものにまでかかってしまいます。
これを1フレームずつ細かく直したりするのが面倒だったんですよね~。この作業だけで何時間もかかってた。
この問題を解決したのがFast Maskです。
Fast Maskの高いトラッキング精度
新しいマスク機能「Fast Mask」は最初に対象の末端部位3点を選択することで動画内の全フレームで精度の高い追従を可能にしました。これにより、丸一日近くかかっていた作業が数クリックで完了できるように。地味な作業にかける時間を大幅に削減できるので、予算や時間がなくてもよりハイクオリティな映像を制作することができますよね。
↑の画像では全くマスクがぶれていないことが分かるかと思います。
実はこのトラッキング精度の高さは障害物をも克服しています。新郎新婦の映像では分かりにくいので別の映像を元に解説していきます。
ウキウキした様子の外国人女性が歩いているシーン。樹木を認識してマスクの対象から外しているだけではなく、樹木を通過したシーンでは元のように女性だけをマスクしていることがお分かりでしょうか。これがFast Maskの正確さです。
マスクをしているため分かりにくいですが、実はこの女性は紫色のトップスを着ています。ほぼ同じ色の扉を通過してもマスクが一切ぶれてないのはすごいです。
まとめ:技術の進化半端ねぇ!
技術の進歩によってどんどん単純な作業が効率化されていくのは素晴らしいことだと思います。
動きのない映像に関しては別シーンの背景データを取得できないと思いますが、その場合はどのようになるのか気になる所ではありますね。恐らく、従来の塗りつぶし機能と同じように周りの背景から取得するんだと思うんですけど、それを自動で認識して処理できるのが革新的。こういう新しい技術を目の当たりにするとワクワクしますね~。
▼Adobe MAX Japanの様子を見たい方はコチラ▼
www.youtube.com僕が紹介した機能以外にも面白い機能がたくさん発表されています。